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プロジェクト起案者の中村俶子さん
生まれは絞りの名家「竹田家」
中村さんは、有松絞りの老舗「竹田家」の生まれ。一流のものを学ぶための女性向けスクール「FELICIA」の運営に従事した後、2016年4月から地元有松のために「NPO法人コンソーシアム有松鳴海絞」を立ち上げました。
「NPO法人コンソーシアム有松鳴海絞」は、 有松・鳴海絞りを通して、染織文化の向上と地域の増進に寄与することを目的とする団体。「絞りミュージアム(仮)」の設立を目指して、国際絞り会議への参加や絞り染め文化の普及セミナーなどの活動を行っています。
そして今回、中村さんは取り組みの一環として、竹田家に隣接する築170年の古民家をライブラリー併設のカフェに再生することに決めました。
400年の歴史を刻む有松・鳴海絞り
中村さんの先祖が始めた絞り染め
有松・鳴海絞り、そして有松の町並みには長い歴史が刻まれています。
有松・鳴海絞りは、江戸時代に中村さんの先祖・竹田庄九郎が、「三河木綿」に絞り染めを施した手ぬぐいを東海道を行き交う人々に販売したのが、その起源と言われています。
その後、藩の特産品として保護されるとともに、諸大名への土産にも用いられ、現在では国の伝統工芸品にも指定。全国の百貨店・呉服店等でも販売されています。
また絞り染め産業の発展とともに、町並みも変化してきました。東海道沿いには豪壮な町家が建てられ、現在もその繁栄ぶりを伝えています。2016年5月には、4大都市にある街道沿いの町並みとしてははじめて「重要伝統的建造物群保存地区」に選定。その町並みも注目を集めています。
クラウドファンディングで500万円を調達!
官・民・学が連携した再生プロジェクトが始動
絞り染めの町として発展してきた有松。そんな有松が文化的な町としてさらに発展していくためには必要なものは何か。
中村さんは、有松を訪れる人と町の人が気楽に立ち寄って集まり、伝統産業「絞り」を通して交流できる場が必要だと考えました。その場を実現するために、中村さんが選んだ手段がクラウドファンディングでした。
クラウドファンディングは、クリエイターや起業家などが自身のサービス・製品・アイデアを実現するために、インターネットを通じて不特定多数の出資者から資金を集める方法のこと。中村さんは、2016年の10月からの約1か月間で5,066,000円を集め、見事に目標額を達成。再生プロジェクトが実現へと動き始めました。
再生する建物は170年前に建てられたという竹田家の離れ。改修作業は、名古屋工業大学の学生と協力し、建物本来の美しさと現代的なフォルムを融合させながら、有松・鳴海絞りを使用した照明や、有松・鳴海絞りについての音声・映像なども取り入れていくとのこと。
ライブラリーカフェという名前の通り、スイーツやお酒を楽しみながら染織関係の本を読むことができる空間になる予定で、2月の初旬オープンを目指しているそうです。
官・民・学が連携して、歴史的建造物を保存・活用していくことを目指すこの取り組み。有松絞りの開祖の名を冠したカフェがどのような場になるのか注目していきたいですね。
有松鳴海絞りのライブラリカフェ『庄九郎』
URL:有松鳴海絞のライブラリカフェ CAMPFIRE ページ
住所:愛知県名古屋市緑区有松1802
画像引用元:https://www.facebook.com/can.shibori/ , http://www.takeda-kahei.co.jp/