IDENTITY 名古屋

2017.4.30 asuka

思い出をつなぐ。東山動植物園・80周年記念イベントの見どころを徹底解剖!

今年で、開園から80年目を迎える東山動植物園。IDENTITY名古屋では、園長の黒邉雅実さんへのインタビューに合わせて、80周年記念イベントについて、前東山総合公園管理業務課係長の松村豊重さんにお話を伺いました。

イベントの見どころから、「こんなこともやってるの!?」という驚きの情報まで。最後には、意外な事情を持つ松村さんだからこそ気付けた、「80年経っても東山動植物園が愛され続ける理由」についても語っていただきました。果たして、その理由とは?

80周年イベントの見どころが知りたい!

トラとの距離、4cm!?ユキヒョウが頭上でジャンプ!?今年の東山動植物園は、とにかく“近い”

「80周年おめでとうございます!早速ですが、80周年イベントの見どころを教えていただけますか?」

「見どころは、ずばり動物との距離が“近い”ということですね」

「距離が近い、とは具体的には?」

「今まで以上に、来園者の方達が動物を間近で観察できるように、動物の展示施設をリニューアルしたんです」

「つまり、動物との距離が物理的に近くなったということですね」

「その通りです。例えばスマトラトラの施設は、従来の檻や手すりなどの囲いを取り払い、4cmのガラス張りに差し替えたんですよ」

「4cm!?あまりの近さに子どもも大人もびっくりしそう・・・」

4cmのガラス越しに見るスマトラトラは、迫力満点!

「ほかにも、ユキヒョウの施設やキリンの施設にも工夫をこらしています」

「ユキヒョウですか」

「はい。ユキヒョウは跳躍力が非常に優れた動物なので、その性質を活かせるように、来園者の頭上にあたる位置にジャンプしながら上れるスペースを設けたんです」

「真上でユキヒョウがジャンプ!すごく迫力ですね。ん?よく見ると、看板に何か書いてある。『にゃん!クリックぼきん』・・・これは何ですか?」

「実は、この施設の一番上のステップにはセンサーが設置されていて、ユキヒョウが乗るたびにカメラが自動的にシャッターを切るんですよ。それを1クリックとして、クリックの回数に応じて動物保護のための募金が行われる仕組みになっています」

この場所にユキヒョウが乗ると、1クリック!

「なるほど!キリンの施設も、何か工夫されているとか?」

「キリンのエリアには毎週日曜日に展望デッキを特設しています。このデッキはキリンの目線と同じ高さで作られているので、キリンがデッキの柵から顔をのぞかせることもあるんです」

「手を伸ばせば届きそうな距離にキリンが!考えるだけで、わくわくしますね」

「これだけ動物との距離が近いと、素敵な写真がたくさん撮れそう!」

「よくぞ気づいてくれました!今回、私たちはそこにも目をつけたんです」

「といいますと?」

「園内で撮った動植物の写真を、オリジナルの図鑑として保存できるアプリを開発したんです!これをご覧ください」

「『撮る図鑑』っていうメニューがありますね」

「このメニューを開いてもらうと、園内にいる動植物の名前がひとつずつ表示されます。その名前をタップし、中央に出てくるカメラマークのボタンを押してもらうと、デバイスのカメラが機能する仕組みになってるんです。試しに、アジアゾウの写真を撮ってみましょうか」

「登録のボタンが表示されましたね」

「登録してみましょう」

「あ!吹き出しコメントが3つ出てきましたよ」

「写真を登録すると、その動物に関する豆知識をゲットできるんです」

「すごい・・・!これなら、楽しみながら動植物のことを学べそう。来園者が楽しめる工夫がたくさんありますね」
 

「実は、こんなこともやっています!」な仰天イベント

79年ぶりに恐竜像をリニューアル!国内に4冊しかない、『解体新書』の原本公開!

「今回のイベントの目玉は、スマトラトラやユキヒョウの施設リニューアルです。ただ、ほかにも『え、こんなこともやってるの!?』という驚きのイベントを用意しているんですよ」

「驚きのイベントですか。例えば、どういったものでしょう」

「ひとつは、東山動植物園のシンボルでもある恐竜像を79年ぶりにリニューアルすることです」

「恐竜像をリニューアル・・・」

「東山動植物園には、開園1周年を記念して建設された3体の恐竜像があるんです。当初は、恐竜像に登って元気に遊ぶ子どもが後を絶たず、絶大な人気を誇っていたそうです。ただ、約80年という歳月のなかで像の風化が進行し、3体の恐竜像うち2体は耐震性に問題があるのではと言われていました」

「そこで、80周年という節目にリニューアルを決意されたというわけですね」

「その通りです。恐竜像が建設された当初は子どもだった世代が、今ではおじいさん、おばあさんになっていますよね。その世代の方達が、像のリニューアル後、お孫さんと一緒にこの場を訪れてくれたらいいなと思うんです。『おじいちゃんは、子どもの頃にこの恐竜に乗ったんだぞ!』『おばあちゃんは、昔この恐竜の前で写真を撮ったのよ』なんて会話を交わしながら、かつて自分が遊んでいた場所で、お孫さんも同じようにはしゃいでいる姿をみて、こみ上げてくるものを感じたり」

「想像するだけで目頭が熱くなりますね。それ最高です」

新しい恐竜像は、4月下旬完成予定

「他にも、イベントがあるんですか?」

「まだまだありますよ!あすかさんは、『解体新書』ってご存知ですか?」

「杉田玄白が書いた医学書ですよね。日本史を専攻していたので、『解体新書』という名前は何度も聞いたことがあります」

「では、その『解体新書』の原書は?」

「原書?確か、オランダ語で書かれたものだったような・・・」

「そうです!ドイツ人医師がオランダ語で記した医学書『ターヘル・アナトミア』を訳し、清書したものが『解体新書』。実は、この『ターヘル・アナトミア』は国内に4冊しか現存しないと言われています。そのうちの1冊が、80周年記念イベントにあわせて、東山植物園で公開されているんです!」

「植物園で、ですか?普通、植物園で『解体新書』の原書が見られるなんて、誰も予想だにしないですよね」

「それだけではありません。今回は、長崎に鳴滝塾を開講し、日本人に医学知識を広めたという、ドイツ人医師のシーボルトから贈られた顕微鏡などの秘蔵品も特別に公開しているんです」

「なんだか、植物園にいるのに博物館にいるような感覚に陥りそう」

「その感覚は、あながち間違ってないですよ」

「え、どういうことですか?」

「というのも、『ターヘル・アナトミア』やシーボルトにまつわる秘蔵品の公開は、名古屋市博物館とのタイアップで実現したからです」

「東山動植物園と名古屋市博物館がタイアップ!すごく豪華なコラボ・・・これは見逃せませんね」
 

80年経っても、東山動植物園が愛されるワケ

世代を越えて、思い出をつなぐ。「名古屋の宝物」であり続けるための努力

「こんなに魅力的なイベントの企画や運営に携わっていらっしゃるということは、松村さん自身、東山動植物園に深い思い出があったりするんですか?」

「深い思い出、ですか・・・」

「東山動植物園によく遊びに来ていたとか」

「いや・・・」

「幼い頃から、動物や植物が好きだったとか」

「・・・実は、どちらもあまり好きじゃないんです」

「え」

「もちろん嫌いではないですよ!しかし、東山動植物園にも幼少期に遠足で訪れたことが1回あるだけで。特に、動物や植物にまつわる印象深い思い出があるというわけではないんです」

「そうだったんですか」

「ただ、そんな自分だからこそ、ここで働きながらも東山動植物園を客観的に捉え、大切なことに気付けたと思うんです」

「大切なこと、ですか」

「東山動植物園が愛され続ける理由です。開園から80年を迎えた今でもなお、東山動植物園が周りから親しまれているのは何でだろう、と考えたときに自分の中で出てきたのは“思い出をつなぐ”という言葉でした。80年という長い歴史の中で、この場所も変化を遂げてきた部分はありますし、これからも変わっていくものもたくさんあると思います。

けれど、東山動植物園が“市民の憩いの場”であるということは、開園から80年経った今でも変わりません。たくさんの方が、憩いの場として動植物園を訪れては、それぞれに特別な思い出を作っていく。そしてその思い出は、自分の家族、恋人、友達をつなぐものであり、世代を越えて通じるものでもあると思うんです」

「訪れた人々の“思い出をつなぐ”場所が、ここ、東山動植物園であると」

「私たち職員も、東山動植物園が“思い出をつなぐ”場であり続けるために、色々と工夫をしています。例えば、恐竜像をリニューアルすることはその一環でもあるんですよね。79年前に建てられたものなので、像の設計図は残っておらず、専門家を招いて調査をしてもらったときも『困難な工事になるのではないか』と言われていたほどでした。

それでもリニューアルを決行したのは、東山動植物園が来園者の方々の思い出をつなぐ場所であり続けたいという私たちの意志の表れでもあるんです」

「イベントの催しや、園内施設のリニューアルは、来園者にとって東山動植物園が特別な場所であり続けるための努力のひとつということですね」

現在、アフリカの森『新ゴリラ・チンパンジー舎』の整備が進んでいる

「その通りです。これからも、名古屋の宝物として東山動植物園を誇りに思ってもらえるよう、みんなで力を合わせていきたいですね」

「その気持ち、きっと来園者の方々に伝わってると思います。今日は、本当にありがとうございました!」

取材を終えた午後4時。動物園の出口へと続く道には「もうちょっと遊んでいたい」と後ろ髪を引かれるように歩く男の子の姿が見えました。「また来ようね」と笑いかける親にしっかりと握られている小さな手。彼がまたこの場所を訪れるとき、その手が握っているのは、今日の自分と同じように「まだ遊んでいたい」と駄々をこねる我が子の手かもしれません。

そんな光景を、東山動植物園は一体どれだけ見守り続けて来たのでしょうか。今までも、そしてこれからも、この場所を訪れる人たちの“思い出をつなぐ”場所であり続けるため。80年目の挑戦は、始まったばかりです。
 


東山動植物園
営業時間:9時~16時半(閉園は16時50分)

定休日:月曜日(国民の祝日または振替休日の場合はその翌日)※80周年記念イベント期間中は、不定期

URL:東山動植物園 公式サイト

住所:愛知県名古屋市千種区東山元町3丁目70


画像引用元:http://www.higashiyama80.net/event/2017/04/23/1323

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