南インドにあるチェンナイという都市を知っていますか?
人口は約480万人、インドの中でも第4位の人口を誇る南インドの玄関口でもある一大都市です。この町の閑静な住宅街の一角にある出版社「Tarabooks(タラブックス)」は、今、世界で最も注目されている絵本の出版社のうちの一つなんだとか。
そんなタラブックスをフィーチャーした展覧会「世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦」が、今月刈谷市美術館で開催されます。今回はその詳細をお伝えします。
目次
「Tarabooks(タラブックス)」とは
インド発、思わず手に取りたくなるほど美しい、世界で注目される絵本の出版社
「Tarabooks(タラブックス)」は、1994年にインド・チェンナイに設立された小さな出版社です。絵本好きな方は、ご存知かもしれません。なぜなら、この出版社はインド人女性2人が立ち上げた、世界中の本好きを魅了する美しい絵本を次々と作り上げている出版社だから。
「絵本とは芸術である」と思わせられるその装丁、デザイン。絵本に登場する森や木、様々な生き物は、インド各地の先住民族の画家たちによって描かれています。インド国内でも知られていない無名のアーティストたちの作品の美しさは、この絵本を通じて世界中にファンを作っているのだとか。
絵本のビジュアル以上に、その制作工程も注目を浴びる
作品の全てにおいて、職人の手仕事が織り込まれている
タラブックスの絵本が注目される理由は、デザインの素晴らしさだけではありません。熟練の技を持つ職人たちが1つ1つ大切に絵本を仕上げていることも、注目される理由のひとつ。
例えば、絵本に使われている紙は南インドで作られたハンドメイドの用紙。その紙に、シルクスクリーン印刷という方法で、1色ずつゆっくりと手で刷っていきます。
もちろん、印刷した後の製本工程も手作業。そのため、タラブックスの絵本は、一度に多く作ることはできません。インクの載り方、製本の状態も、1冊として同じものはないそう。
そんな繊細な作品であることが、タラブックスの絵本をさらに魅力的にしています。
刈谷市美術館「世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦」の見所
美しい絵本を通して、絵本作りやインドを知ることができる
そんなタラブックスは、昨年末東京都板橋区立美術館で日本で初となった「世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦」を開催。
そして今回、日本巡回における2つ目の美術館として、愛知県の刈谷市美術館にやってきます。会期は4月21日から6月3日まで。タラブックスの絵本やその原画、絵本ができるまでのメイキング映像など、魅力が一挙に紹介される展覧会となっています。
また、この展覧会では、絵本づくりの裏側にある思想や社会的背景にも触れることができ、絵本作りを通してインドという国を理解できるでしょう。
ぜひこの機会に、素晴らしい絵本の世界に足を踏み入れてみませんか?
刈谷市美術館 「世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦」
期間:2018年4月21日(土)~6月3日(日)
会館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日 ※ただし4月30日は開館
URL:刈谷市美術館 公式サイト
画像提供:松岡宏大