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『アイチアートクロニクル 1919-2019』とは
愛知アートシーンの100年間を遡る地域コレクション大集結の企画展
愛知県美術館が、2019年4月にリニューアルオープンしたことを記念して開催中の『アイチアートクロニクル 1919-2019』。タイトルを見てお気付きのとおり、1919年から2019年までのちょうど100年間の愛知県のアートシーンを、愛知県美術館や名古屋市美術館など地域のコレクションで構成してまとめられた企画展です。
愛知県の10代・20代の若者たちで構成されたアートグループ「愛美社」が1919年に開催した展覧会を起点として、そこから100年の間の愛知アートを取りまくムーブメントや事件を辿る内容になっています。
全国各地でも自館のコレクションにスポットを当てた展覧会が開催されていますが、それぞれの地域ならではのアートの歴史や特徴、そして地域に根差したアーティストの活動が一堂に会する機会はとても貴重。絵画や彫刻だけにとどまらず、アバンギャルドな活動を伝える映像や各種資料も大充実で、じっくり観ると2時間でも足りないほどのボリュームです。
これだけの作品数にもかかわらず、コレクション展ということで料金がワンコイン(500円)なのも、ぜひ足を運んでもらいたい理由です。
各コーナーの見どころ
全9章で伝える愛知アートの歴史と熱量
本展覧会の作品数は約200点に及び、以下の9章で構成されています。
第1章「博覧会・博物館 愛知洋画のはじまり1871〜」
第2章「愛美社とサンサシオン」
第3章「シュルレアリスムの名古屋」
第4章「非常時・愛知」
第5章「日本画と前衛」
第6章「桜画廊とその周辺」
第7章「美術家たちの集団行動」
第8章「現代美術の名古屋」
第9章「美術館の内と外」
内容を一部紹介すると、第2章「愛美社とサンサシオン」では、愛知県での作家の自主的なグループ展を先がけて開催した洋画グループ「愛美社」や、それに続いて登場した洋画グループ「サンサシオン」の中心人物たちの作品を観ることができます。絵画だけでなく、展覧会の目録や旗の展示が、当時の空気を感じさせてくれます。
第5章「日本画と前衛」では、「中部日本美術協会」の日本画部が、出品規定から画材の制限を外したことで生まれた、多様な画材を用いた実験的な日本画の作品を観ることができます。また、美術文化協会が分裂するなど、活動の場が画壇から個人へと移っていく転換期の動きを感じさせる内容となっています。
第7章以降は、愛知独自のアートシーンを感じることができる内容になっています。愛知の前衛として知られるパフォーマンスアート集団「ゼロ次元」や「ぷろだくしょん我S」の既存の枠にとらわれない破天荒とも言える取り組みの数々に驚かされます。美術館やギャラリーを飛び出し多岐にわたる活動をしていた彼らの姿が、フィルムや雑誌、チラシなど様々な作品を通して浮かび上がる構成です。
最も作品数が多い最終章は、行政や地域のまちづくりと連動したプロジェクトが活性化していった1990〜2000年代の作品で構成され、『あいちトリエンナーレ』へと繋がる現代の愛知を感じることができます。
愛知県美術館の名品もお忘れなく
企画展とは別展示の愛知県美術館コレクションも必見
企画展の出口を出ると右手にあるのが、「愛知県美術館の名作 寄贈作品・寄附金による購入作品を中心に」と題された部屋。ここにはグスタフ・クリムトの『人生は戦いなり(黄金の騎士)』や、藤田嗣治の『青衣の少女』など、11の作品が展示されています。愛知県美術館自慢のコレクションを、お見逃しなく!
なお、展示室内には小学生向けのミュージアムワークシートや解説シートが設置されているので、大人だけでなく子どもも一緒に楽しむことができます。愛知100年のアートの歴史を俯瞰で学び体験できる貴重な企画展『アイチアートクロニクル』は6月23日まで。会期終了間近には混雑が予想されますので、ぜひお早めに足を運んでみてください。
愛知県美術館
開館時間:10:00〜18:00(金曜は20:00まで)
休館日:毎週月曜日
観覧料:
一般 500(400)円
高校・大学生 300(240)円
中学生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金
URL:公式サイト
画像引用元:https://jmapps.ne.jp/apmoa/index.html