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鶴舞のドライフラワーショップ「ある日」で、枯れることない自分らしさを見つけに行こう。

鶴舞のドライフラワーショップ「ある日」で、枯れることない自分らしさを見つけに行こう。

「奥路地に佇む洋食店、老夫婦が営む小さなパン屋、休日だけ開店する雑貨屋——その土地に根付き、日々の暮らしにそっと灯りをともしてくれるようなお店が、名古屋にもたくさんあります。『あの娘とナゴヤ。』では、名古屋で暮らす女性が、何でもない日に出会う、とびっきり魅力的な場所を「ストーリー」とともにご紹介。あなたの毎日に添える“ステキ”を、名古屋の街へ見つけに行きませんか?」

早春。厳しい寒さを越えて、柔らかな陽射しが降り注ぐ日が多くなってきた。
春がやってくるのもすぐそこかもしれないなぁ。スマホの経路案内を頼りに、見知らぬ通りを歩きながら考える。途端、肌を刺すように冷たい風が吹きつけてきた。前言撤回。身震いをしながら、去年セールで一目惚れをしたお気に入りのコートはまだ手放せそうにないな、と襟を掻き合わせた。

本格的に春がやってきて、このコートを脱ぎ捨てる頃には先輩は…。

私が新卒で入社し、一人前に仕事がこなせるようになるまでずっと側で見守ってくれていた先輩が、この春異動になった。何も珍しいことじゃない。勤続していれば当たり前のことだけれど、いざ現実になるとその衝撃は大きかった。

「まぁ、会おうと思えばいつだって会えるでしょう」
先輩はあっけらかんとそう言って、迷子の子どものような顔をする私にいつものように笑いかけた。

あぁ、私はいつだってこの太陽のような笑顔に背中を押してもらっていたんだなぁ。いつまでも先輩を頼っているばかりじゃダメだ。新たな地で、新たな生活を始める彼女の背中を今度は私がそっと押してあげたい。そう思った。

先輩への感謝の気持ちと、新たな生活の応援に何を贈ろう。彼女らしさが出るものが良いな…。

そうだ、ドライフラワーはどうだろう。「枯れることのない自分らしさ」を忘れないでほしい、という思いを込めて贈りたいな。

そう思いたった私はスマホで「名古屋 ドライフラワー」で検索をかけた。検索結果を眺めていると、あるお店の名前が目に留まった。よし、ここにしよう。

鶴舞のドライフラワーショップ「ある日」で、枯れることない自分らしさを見つけに行こう。 - DSC06109

そして私は今日、お店への経路案内を頼りに名古屋の町を歩いていた。

鶴舞駅から徒歩4分。静かな町中にドライフラワーショップ「ある日」は佇んでいた。黒い扉に刻まれたシンプルなロゴがパッと目に飛び込んでくる。

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ガラス張りの壁から漏れる店内の柔らかな灯りに引き寄せられるように、そっと扉を開ける。溢れんばかりのまばゆい光が私を迎え入れた。

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一歩お店に足を踏み入れれば、そこはまるで別世界。

ぶわりと咲き乱れるように並ぶドライフラワーに、さまざまな形の花瓶。天井から吊るされたライトの光を受けて、まばゆくきらめいていた。

素敵なものをぎゅっと詰め込んだ、秘密の宝石箱を覗いているみたい。

繊細に造り上げられた空間には、まるで外と切り離されたようにゆったりとした時間が流れていた。

鶴舞のドライフラワーショップ「ある日」で、枯れることない自分らしさを見つけに行こう。 - DSC06150

そろそろと歩を進め、店内を見て回る。

色鮮やかなドライフラワーは、触れたら壊れてしまいそうな繊細さを持ちながら、一本一本が己の美しさを誇るように凛としていた。

どれも素敵だけど、どうやって選べばいいんだろう…。

花束を贈ることが初めての私は、ドライフラワーの種類の多さに圧倒されて視線を彷徨わせた。ここは、お店の人に相談して先輩にピッタリの花束を作ってもらおう。意を決してお店の人に声をかけた。

鶴舞のドライフラワーショップ「ある日」で、枯れることない自分らしさを見つけに行こう。 - DSC06180

「わかりました。理想のイメージを教えてもらえますか?」

プレゼント用の花束を作ってほしい旨を伝えると、オーナーは細やかに要望を聞いてくれた。

予算や理想のイメージ、季節感やプレゼント後の飾り方…。

聞かれるがままに溢れ出す私の要望を、オーナーはすいすいと拾い上げてくれた。迷いのない手が次々と花を選び出し、あっという間に花束が作られていく。

オーナーの側で、徐々に完成されていく花束を目にして思わず胸が高鳴る。

先輩らしさをすごく感じる…。頭の中のイメージがそのまま抜け出してきたようだった。

鶴舞のドライフラワーショップ「ある日」で、枯れることない自分らしさを見つけに行こう。 - DSC06216

選び出した花を束ねている間、オーナーはぽつりと呟くように話をしてくれた。

本職がデザイナーのオーナーは、自分を表現できる場所としてこのお店を作ったそうだ。

デザイナーとして、お客さんと同じ目線に立ち、要望をその場でドライフラワーを用いて表現する。このお店を、お客さんとコミュニケーションがとれる場所にしたかったのだとか。

話を聞いて、私は深くうなずいた。オーナーとの会話を楽しんでいるうちに作り上げられる花束を見て、やり取りの中でイメージが膨らんでいく楽しさと、彼の表現の精巧さを実感したからだ。

お客さんの要望を完全に網羅した、唯一無二のデザイン。まさに「自分らしさ」を表現するのにうってつけだ。今度は自分の部屋に飾る花束を買いにこようかな、なんて考えた。

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「完成です、いかかですか」そっと差し出された花束に、目を奪われる。

コミュニケーションの中で作り上げられた、先輩のためのオリジナルの花束。

洗練された色遣いの中に、春を感じさせるミモザが陽だまりのような温かさを灯している。

自分という芯をしっかりと持ち、明るくて親しみやすい先輩が繊細に表現されていた。

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花束を受け取って、お店を後にする。

帰り道、紙袋を覗いて思わず笑みがこぼれてしまう。先輩に渡すのが待ちきれない。喜んでくれるといいな。

もうすぐ春がやってくる。このコートを脱ぎ捨てる頃には、私も先輩も新たな日常を自分らしく楽しんでいる。そんな予感がした。

※メニュー・営業時間などは公開時点での情報となります。最新の情報は各店舗のHPやSNSにてご確認ください。

スポット情報

ある日

愛知県名古屋市中区千代田3丁目15-33

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080-2646-2822
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