開催前にもご紹介させていただいた「やっとかめ文化祭」では、知っているようで知らない街に根付く歴史や文化をなごや好きガイドさんと歩く「まち歩きなごや」ツアーを行っています。
今回はツアーメニューの一つ、「渋ビル研究会」による名古屋の「渋ビル」を巡るツアーに密着しました。
「渋ビル研究会」とは?
「渋ビル研究会」とは、寺嶋梨里さんと謡口志保さんによる古くから街中に佇む「渋いビル」を愛でる会のことです。
お二人はビルの形状や、窓の形、外観の色やはたまたビル名を掲げた字体など、細部に渡って着目し、その魅力を冊子「名古屋渋ビル手帖」にまとめる活動を行っています。
渋ビル研究会によるツアーはこれが初めて。いったいどんなツアーになるのでしょうか。
はじめての渋ビルさんぽ
ビルのどういったところに注目すべきか、そのヒントを渋ビル研究会の二人から教えてもらいながらツアーは進みます。今回はその中でも特に窓の形、外観のタイルの色に着眼しました。
「名古屋の周辺には窯業が盛んな地域が多いためタイルを使ったビルが豊富です」と謡口さん。ツアーで立ち寄った「柴田」ビルも、今では手に入らないという深い青色のタイルを用いた渋ビルでした。
このビルの前では渋ビルを上手に撮影するポイントもレクチャー。太陽に背を向けて撮ることで、ビルの外壁がきれいに映える写真になるそうです。
お悔み「天野屋」ビル
ツアーの途中で、住宅街にある何の変哲もない空き地に立ち寄りました。ここには以前「天野屋」というビルが立っていましたが、老朽化が進み大家さんがビルを取り壊しました。
「私たちの取り上げる渋ビルの多くは老朽化が進み、いつなくなるか分からないものばかりです。取り壊されてその姿が見れなくなってしまう前に、ぜひ見に行ってみてください。」と寺嶋さんはおっしゃっていました。
一度見たら忘れられない「中産連ビル」
その小さな窓がモザイクアートのように並んでいる「中産連ビル」は今回のツアーの目玉です。
「中産連ビル」は近代建築の巨匠ル・コルビュジェに師事し、日本のモダニズム建築を牽引してきた建築家・坂倉準三氏が設計を手掛けたことで有名です。
「中産連ビル」では特別に中に入り、会議室も見せて頂きました。
渋ビルを通して感じるまちの魅力
普段は何気なく通り過ぎてしまうようなビルを丁寧に取り上げる今回のツアー。
参加者の方のビルを見る観点が多様で、「あそこの配管きれい」や「あの屋根の色合い珍しい」などの声が飛び交い、和気あいあいとツアーが行われていたのが印象的でした。
人生で初めてビル一つ一つをじっくり観察することで、ビルにはその時々の流行や文化が色濃く映し出されることに気が付きました
これもまちの魅力を再発見できるやっとかめ文化祭ならではのツアーなのではないでしょうか。
そんなやっとかめ文化祭は11/20まで。ぜひお時間のある方はお気軽に足を運んでください。
やっとかめ文化祭
開催期間:2016年10月29日(土)〜11月20日(日)
URL:やっとかめ文化祭 公式ページ